トップページ > 環境保全を祈願して
不動明王は、教えに従わない救い難い悪を懲らしめ教化するために、
宇宙の根本の仏である大日如来が、恐ろしい姿に変身して現れた明王です。

その忿怒の相は、
人間を誘惑する一切の悪魔を降伏させ、
人間の心を掻き乱す一切の妄念、欲望、煩悩を取り払うためのものです。

人間の活力が肥大して、地球社会の許容量を越えようとしている、現在――。
ここ加賀美山法善護国寺の不動明王像は、
地球環境保全を心願として平成7年に奉納されました。

像は寄木造りの立像で、「丈六仏(じょうろくぶつ)」と呼ばれ高さは約8.5mあります。
木彫では日本最大級の規模と言われていますが、
樹齢1000年のアガチスという木で造られています。
肥沃な環境の良い地で育ったその銘木が、
1000年の時を経て、地球環境保全を祈願する仏に生まれ変わりました。

不動明王像が安置されている不動明王殿は、
屋根架構の構造部材はもとより、
柱、柱脚など、全面的にステンレス鋼を採用し、
500年を越える耐久性を実現しています。
不動明王を祀るに相応しい宗教的崇高さを素直に表現するとともに、
その優れた意匠で、伝統と現在、そして未来を、巧みに融合させています。

不動明王殿。外観は普通の寺院建築ですが、大屋根を支える主体構造にステンレス鋼を使用し、かつ構造体を露出させているという特殊な建造物となっています。従来の鉄骨造りでは、構造体の露出は錆などの問題から塗装などにより隠蔽されてきましたが、ステンレス鋼製造の技術革新により露出を可能にしており、建築界でも大きな注目を集めています。

米長永世棋聖手形。不動明王殿内には、加賀美瓦で造られた各界著名人の祈願手形が安置されています。瓦づくりは約300年前(江戸時代後期)から、この加賀美の地で受け継がれてきた伝統産業です。現在ではその技は甲州鬼面瓦にも伝承されています。写真は将棋の米長邦雄永世棋聖の手形。その他、歌手の森山良子さんなどの手形が安置されています。
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